1/1

【楽譜】ギターのためのメンデルスゾーンの主題による幻想ソナタ 作曲:高久弦太&畑中雄大

¥2,200 税込

この商品は送料無料です。

 《ギターのためのメンデルスゾーンの主題による幻想ソナタ》は、音楽プロデューサーの高久弦太の発案により2020年から2022年にかけて作曲家の畑中雄大と共に作曲され、2022年4月24日に雑司ヶ谷音楽堂にて土橋庸人によって初演されました。クラシックギターのレパートリーの中でロマン派様式の大曲は数少なく、その中でもソナタの名曲はポンセがシューベルトの様式を反映させた《ソナタ・ロマンティカ》が挙げられる程度です。所謂「ロマン派様式のソナタ」をギターでもっと味わえるようにしたい、ということが制作の動機でした。当初はメンデルスゾーンの《幻想曲 (スコットランド・ソナタ) 嬰ヘ短調 Op.28 U 92》の第一楽章をギターのために編曲することを高久が畑中に依頼するところからスタートしました。提示部は畑中氏が大変すばらしく編曲してくれたのですが、展開部はギターの性能に合うように編曲することが難しく、結局、展開部を新しく作曲することにしました。二人で案を出し合いながら、ようやく完成すると、前奏と展開部が大きく膨れ上がって6分程度の長さの原曲が12分を超える大曲になっていました。原曲とはかけ離れた楽曲になってしまいましたが、それでもメンデルスゾーンの名旋律がしっかりとした構造を持つソナタとなってギターで味わえることに大きな手ごたえを感じました。これで「やめられなくなってしまった」といいますか、この長大な第一楽章に見合う複数楽章の大ソナタを構想してしまい、試行錯誤を繰り返して出来上がったのが本作品です。第三楽章のフーガ付きの葬送行進曲、第五楽章の長大なフィナーレなど、メンデルスゾーンというよりはマーラーのような壮大な構成になってしまいました。

 当時私は音楽出版社に勤めていましたが、夜11時くらいに帰宅してからほぼ毎日ズームで畑中氏と制作に没頭し、深夜3時くらいまで議論を交わすといった日々を懐かしく想い出します。「もう一度やれ」と言われてもできそうな気がしませんが、そこまでしてやってみたかったのは「ギターが壮大な音楽を奏でるところを聴いてみたい」という気持ちに突き動かされて分別を失ってしまったからでしょう。「今さらメンデルスゾーンの主題を使ってロマン派の曲を作曲するなんて」といった内心の声も全く聞こえないわけではありませんでしたが、私たち二人の前にある一つの世界が現れてしまったとき、それをかたちにせずにはいられなかったのです。

 もともと作曲には仕事としては携わらなかった私が作曲家の畑中雄大の力を得て、楽曲を公にすることになったのはこういう次第ですが、私たち二人は互いにこの作品の制作者であると同時に証人です。私たち自身が全力で没頭し、そして今尚この作品を通して「ギターにおけるロマン主義」の壮大で甘美な世界にアクセスすることができます。それが何を意味するかは私たち自身にも十分にわかってはいません。その意味はこの曲を演奏してくださるギタリストの皆様にかかっています。最後に、この曲の制作にあたり、すべての譜面に目を通し、貴重なアドバイスを下さったギタリストの松尾俊介氏、坂場圭介氏、そして初演をしてくださった土橋庸人氏に厚く感謝申し上げます。

令和6年11月 高久弦太

作曲者:高久弦太(ペンネーム・山中哲人)
音楽レーベル Vacances Musicales(バカンス・ミュジカル)プロデューサー、ディレクター。地域音楽コーディネーター。同レーベルで多くのアルバム、コンサートをプロデュースする他、これまで「山田耕筰ピアノ音楽プロジェクト」(2022年)、「左手のオールバッハコンサート」(2017年)、また地方自治体主催による音楽イベントなど多くの音楽プロジェクトの企画制作に携わる。ピアノを市原由香に師事。カワイ音楽振興会コンサートレポートライターを経て、音楽出版社に長年勤務する傍ら、独学で作曲作品や編曲作品を発表。企画と編曲を担当したCD『J.S.バッハ & S.L.ヴァイス リュート作品の鍵盤用トランスクリプション集』は『レコード芸術』誌準特選盤に選出された。2022年に作曲家畑中雄大と共作した《ギターのためのメンデルスゾーンの主題による幻想ソナタ》が土橋庸人によって初演された。2024年1月『ブルグミュラー絵本~「25の練習曲」に基づく25の物語』、2月に哲学絵本『デカルトの夢』、3月に音楽絵本『エリーゼのために』、6月に『子どもの領分~ドビュッシーのピアノ名曲による音楽絵本』、8月に音楽絵本『ラ・カンパネラ』を上梓。哲学に関する書籍や動画のシナリオ制作にも携わっており、多方面で活躍の場を広げている。
 
作曲者:畑中雄大
国際新堀芸術学院卒業。現在は同校音楽理論・音楽史講師を務める。第7回TIAA作曲家コンクール室内楽部門入選。第1回日本ギター連盟主催、日本ギター合奏作曲コンクール第2位。全日本ギターコンクール合奏部門課題曲担当(2011年~)。近年では藤沢市のプロモーション活動にも精力的に参加。藤沢シティプロモーション作曲担当。2009年より毎年藤沢市民ミュージカル作曲も担当している。藤沢市テーマソング『キュンとさせるこのまちで。』編曲担当。

商品をアプリでお気に入り
  • 送料・配送方法について

  • お支払い方法について

¥2,200 税込

送料無料

最近チェックした商品
    その他の商品